CureApp HT 高血圧治療補助アプリ【医療関係者向け】
診療報酬×治療アプリ

診療報酬×治療アプリ

診療報酬改定後のリアルに迫る

講演概要

株式会社船井総合研究所 川本 浩史 様

川本様は、株式会社船井総合研究所のコンサルタントであり、循環器、糖尿病、呼吸器内科のクリニックの経営コンサルティングを専門としています。講演では、最新の診療報酬改定に関する詳細を解説しました。特に生活習慣病管理に焦点を当て、今回の改定がクリニックに与える影響と、対応策について説明しました。以下は主な内容です。

診療報酬改定の概要:今回の改定では、生活習慣病管理料が新たに設定され、特定疾患療養管理料から高血圧、糖尿病、脂質異常症の3疾患が削除されました。

生活習慣病管理料の選択肢: 生活習慣病管理料1、生活習慣病管理料2、特定疾患療養管理料の3つの選択肢について、それぞれのメリットとデメリットを整理し、最適な選択肢を提案しました。

推奨する対応方針:生活習慣病管理料2の算定を原則としつつ、場合によっては生活習慣病管理料1や特定疾患療養管理料の利用を検討する方法を紹介しました。

株式会社CureApp 鈴木 晋

株式会社CureAppの創業者であり、高血圧治療アプリ「CureApp HT 高血圧治療補助アプリ」の開発に携わっています。講演では、CureAppの治療アプリと新サービス「CureApp 血圧チャレンジプログラム(以下、「血圧チャレンジ」)について紹介しました。以下は主な内容です。

CureAppの紹介: CureAppは、医師とエンジニアによって設立された医療機器メーカーで、高血圧や禁煙治療のアプリを開発しています。

血圧チャレンジ: 新たに導入されたこのプログラムは、患者が生活習慣を改善し、継続的に治療を受けやすくすることを目的としています。漫画形式の資料やキットを提供し、患者のモチベーションを高める工夫がされています。

療養計画書の作成:療養計画書の作成が簡単にできるツールを無償で提供し、医師の負担を軽減する方法を紹介しました。

動画を視聴したい方はこちら

本記事のアーカイブ動画をご覧いただけます

製品説明資料をダウンロード

製品説明資料もご覧いただけます

CureApp 血圧チャレンジプログラムの説明

司会: それでは、診療報酬改定×治療アプリウェブセミナーを開始いたします。 講演に先駆け、6月より開始した新サービス、血圧チャレンジプログラムについて、情報提供をいたします。 CureApp HT 高血圧治療補助アプリを用いたCureApp血圧チャレンジプログラムをご紹介させていただきます。 高血圧治療の基本である生活習慣の修正、しっかり行いたくても、時間が無い、患者さんが継続できない、効果が出にくい、こういったお悩みはありませんか? そのようなお悩みに対して、CureApp血圧チャレンジプログラムをご提案いたします。 このプログラムは医療機器CureApp HT 高血圧治療補助アプリを用い、指導を充実、継続、結果を出すためのプログラムです。 サービスを含めて、アプリ単体の自己負担で受けていただくことが可能です。 プログラムのメインとなるCureApp HT 高血圧治療補助アプリは、高血圧治療ガイドライン2019に準拠した知識習得、具体的な行動の提示、習慣化を促します。 薬と同様に臨床試験により降圧効果が認められ、薬事承認、保険適用されています。 診察と診察の間の家庭血圧、 自宅での取り組みは、医師アプリ上で可視化され、患者さんの記入内容を診察時の会話に活かすことができ、診療の充実につなげていただけます。

プログラムの中で提供するアプリ以外のサービスをご紹介します。 プログラムのご紹介には、弊社より小冊子を提供させていただきます。 降圧目標、生活習慣改善の意義、アプリを使った治療のイメージを漫画を交えて構成しており、患者さんお一人でもプログラムの理解を深めていただけます。

処方された患者さんには、血圧チャレンジキットをお渡しいただけます。 キットには、スタートブック、減塩レシピなどをセット。 プログラムを始める患者さんのモチベーションアップにつなげます。 診察の際は、患者レポートを発行いただけます。 1か月間の取り組みを可視化するこのレポートは、「頑張っているね、見ているよ。」と、患者さんの診療満足度や通院モチベーションを高めるのにお使いいただけます。

また、生活習慣病管理料2を算定する患者さんには、アプリの入力内容に応じた療養計画書を同時に作成し、お手間を削減できるサービスも提供しております。 このように血圧チャレンジは、高血圧の生活習慣の指導を充実させ、継続しやすく、結果を出しやすくすることを目指したプログラムです。 高血圧治療に是非、お役立てください。 ご視聴ありがとうございました。

司会: お待たせいたしました。 それでは、講演に移らせていただきます。 はじめにご講演いただく川本様の御略歴を紹介させていただきます。 大手製薬、医療機器メーカーのMRを経て、船井総合研究所に入社。 入社後は、循環器、糖尿病、呼吸器内科のクリニックの経営コンサルティングの業務にあたられております。 より臨床に近い現場で、医師と対話を重ねてきた前職の経験を活かし、机上の空論とならず、臨床現場に即したエビデンスのある実行策を提案することを心がけていると伺っております。 本日は、生活習慣病管理料1、2の導入事例から学ぶ、更なる次の1手についてご講演いただきます。 それでは、川本様、よろしくお願いいたします。

株式会社船井総合研究所 川本 浩史 様 ご講演

川本 浩史様(以下、川本様):ご紹介いただきまして、誠にありがとうございます。私、株式会社船井総合研究所の川本と申します。どうぞよろしくお願いいたします。本日は多くの先生方にご参加いただいているかと思いますが、船井総合研究所についてご存じでない方もいらっしゃるかと思いますので、簡単に弊社の紹介をさせていただきます。

川本様:弊社、船井総合研究所は1970年に創業した会社で、コンサルティング会社としては珍しく、株式上場を行っている会社です。現在では750名以上のコンサルタントが在籍しており、規模の大きな会社です。

川本様:船井総合研究所の特徴として、一般的なコンサルティング会社はテーマ型のコンサルティングを提案することが多いのに対し、弊社はテーマ型に加え、業種別に専門のコンサルタントが在籍していることです。これにより、より実践的で効果的なコンサルティングを提供できる点が大きな特徴です。

川本様:それでは早速、今日のテーマに入っていければと思います。大きくこの3つに分けて話を進めていきますので、よろしくお願いいたします。

川本様:まずは今回の診療報酬改定の振り返りですが、特に生活習慣病管理に焦点を当ててお話しします。前回のセミナーをお聞きいただいた先生方は重複しますが、ご容赦いただければ幸いです。

今回の診療報酬改定は全体としてプラス0.88パーセントのプラス改定とされています。その中でも診療所においては、人材不足への対応と機能分化促進の2つが大きく注目されました。

プラス0.88パーセントのうち、0.61パーセントは人材不足への対応、特に医療従事者の賃上げに割り当てられており、実質的にはほぼプラスではないという状況です。 また、診療所については財務省の資料によると近年、診療所は極めて利益率が高水準だという風に言われており、どちらかというとかなり厳しい改定になったということは周知の事実かと思います。

川本様:今回のテーマである生活習慣病管理については、実質マイナス0.25パーセントの試算が出ており、結構大きなマイナス改定となっています。

中でも特徴的なのは、特定疾患療養管理料の項目から高血圧、糖尿病、脂質異常症の3疾患が削除された点です。今後は生活習慣病管理料で算定する方向性が示されました。原則として、生活習慣病管理料Ⅱで算定される先生が多いと思いますが、この生活習慣病管理料Ⅱの特徴としては、見た目は333点と上がっていますが、外来管理加算の併算定が不可である、特定疾患処方管理加算の併算定が不可である点が特徴としてはございます。

川本様:また、これまで特定疾患療養管理料を月に2回まで算定できていたのが、生活習慣病管理料では月に1回の算定になります。その他にも、特定疾患処方管理加算1が廃止され、28日以上経過しないと特定疾患処方管理加算が取れなくなった点や、処方箋料が減算される点も大きな変更点です。基本的には、生活習慣病管理は長期処方を前提とする流れになっていると思われます。 この変更により、患者一人一人、あるいは日本全体の生活習慣病管理において、医療費が下がることは間違いないと考えられます。

川本様:さらに詳細に試算しますと、令和6年5月までの特定疾患療養管理料の場合、基本的に取得可能な点数が484点から検査等行った出来高算定だったのが、今後は特定疾患療養管理料の場合、生活習慣病管理料Ⅱの場合、基本的には同じことをやっていると16点マイナスの減算が発生することになります。生活習慣病管理料への移行にあたり、外来データ提出加算がプラス項目として付加されていますが、これを取らなければ基本的には減算となる点が特徴です。

動画を視聴したい方はこちら

本記事のアーカイブ動画をご覧いただけます

製品説明資料をダウンロード

製品説明資料もご覧いただけます

川本様: これが振り返りとしての早急なお話でした。この背景を踏まえ今、内科クリニックが取れる選択肢についてお話を進めていきたいと思います。

高血圧、糖尿病、脂質異常症の3つについては、主に以下の3つの方法が考えられます。これらは6月以降、先生方も実践されているのではないかと思います。

1.生活習慣病管理料Ⅱを算定する
2.生活習慣病管理料Ⅰを算定する
3.別病名で特定疾患療養管理料を継続する

この情報は、私が普段コンサルティングをしているクライアント様からの話を基にした体感値ですが、概ね以下のような状況です。

・生活習慣病管理料Ⅱに移行したクリニック:約70%
・生活習慣病管理料Ⅰに変更したクリニック:約10%
・特定疾患療養管理料を継続しているクリニック:約20%

川本様:それぞれの選択肢について、メリットとデメリットを整理いたしました。まず、生活習慣病管理料Ⅱを算定する流れについてです。

【メリット】
点数の安定性: 出来高算定であり、患者さんの自己負担感が従来と大きく変わらないため、診療明細の内容は若干変わりますが、患者さんの理解は得られやすいです。

病名の継続利用: 高血圧や脂質異常症といった病名をそのまま使用できるため、検査や薬の処方に関して従来通りの対応が可能です。

新たな併算定可能項目: 特定疾患療養管理料では併算定できなかった項目が算定可能になります。例えば、CPAPの管理料などが挙げられます。

【デメリット】
療養計画書の作成負担: 療養計画書の作成が必要で、先生やクリニックの負担が増加します。コンサルティング先の先生方からは、一人当たり1分から1分半程度の時間がかかるとのお話を伺っています。

説明時間の増加: 療養生活の指導がしやすくなる一方で、説明に時間がかかることがあります。

生活習慣病の管理においては、投薬治療だけでなく療養生活指導も重要なポイントです。これにより、患者さんにとってもメリットがあると言えるでしょう。もう1つのデメリットとして、特定疾患療養管理料では月に2回の来院が可能だった患者さんが、生活習慣病管理料では月に1回の算定しかできない点があります。これにより、一人あたりの収益が減少してしまう可能性があるという点が挙げられます。この点は、特定疾患療養管理料で月に2回の来院を行っている患者さんが少なくなってきているとはいえ、依然としてデメリットとして考慮する必要があります。

川本様:続いて、生活習慣病管理料Ⅰに移行する場合、元々「生活習慣病管理料」と呼ばれていたものを算定する場合のメリットとデメリットについて説明します。

【共通のメリットとデメリット】
メリット: 若くて検査があまり必要ない患者さんや検査を拒否する患者さんに対しても、出来高の生活習慣病管理料Ⅱとは異なり、一定の収益が期待できるという経営的メリットがあります。

デメリット:
・検査の有無にかかわらず費用負担が発生し、比較的高額になりがちです。患者さんへの説明に注意が必要です。
・糖尿病など、検査頻度が高い場合、出来高で算定する方が収益が高くなる可能性があります。
・生活習慣病管理料Ⅰでは算定できる項目に制限があり、単価の上限が固定されやすいというデメリットがあります。

【特定疾患療養管理料で継続する場合のメリットとデメリット】
メリット:クリニック側が比較的楽であるという点が挙げられます。

デメリット:
・患者さんにとっての大きなメリットはあまり期待できません。
・慢性心不全、慢性胃炎、脂肪肝などの病名に限定され、算定できる範囲が狭まります。
・特定疾患処方管理加算を取らなければ、特定疾患療養管理料のみでは225点と点数が低くなります。特に脂肪肝では処方薬が少なく、点数が低くなる可能性が高いです。
・特定疾患処方管理加算が28日未満で算定できなくなったため、月に2回の来院があっても単価が下がるリスクがあります。
・ 今後さらに病名が絞られる可能性が高く、このリスクがデメリットとして挙げられます。

川本様:今、ざっとお話をさせていただきましたが、総括してみると、先生方とお話をしている中で、原則として生活習慣病管理料Ⅱを算定していただいた方が良いのではないかと思います。その上で、データ提出加算や他の管理料との併算定を目指し、患者さん一人あたりの売上が下がることがあるかと思いますが、先生の一回の診療枠あたりの単価を高めていく方向性で進めていければと思います。

ここについて詳しく説明すると相当時間がかかります。前回のCureAppさんのセミナーで詳しく解説させていただきましたので、CureAppさんのホームページからセミナーのアーカイブをご覧いただくか、船井総合研究所にお問い合わせいただければご説明させていただきますので、是非ご活用いただければと思います。

次に、一部の方に対しては生活習慣病管理料Ⅰも検討していただいても良いのではないかと思います。若くて検査頻度が極端に少ない方や、検査を拒否される方、あるいは定期的に人間ドックを受けておりクリニックでの検査が必要ないと言われる患者さんについては、生活習慣病管理料Ⅰでも良いのかなというところです。

ただし、自己負担額が比較的高くなりがちですので、特に若くて検査頻度が少なく安定している患者さんについては、毎月受診するよりも2か月に1回、3か月に1回などの形で受診し、患者さんのトータルの自己負担を少し減らしてあげることも検討していただいた方が良いのではないかと思います。

一方、特定疾患療養管理料で継続する場合については、個人的には緊急避難的な扱いとした方が良いと思います。特にこの6月、7月にかけて、生活習慣病の3疾患の患者さん全員に療養計画書を作成しなければならないため、非常に大きな負担がかかっていると思います。そのため、一部の方については、段階的に移行するために6月、7月限定で他の病名で特定疾患療養管理料を取っておき、7月、8月に段階的に生活習慣病管理料に移行するような使い方を検討していただく方が良いのではないかと思います。

川本様:現在の状況と選択肢についてお話しいたしました。基本的には、生活習慣病管理料を導入することが望ましいと考えています。しかし、最大のハードルは療養計画書の作成にあると思います。この診療報酬改定に伴い、運用方法をどれだけ改善できるかが重要なポイントとなります。そのため、背景と現状を踏まえた次の一手についてご説明いたします。

川本様:診療報酬改定において、生活習慣病領域では医療機能の評価の効率化と適正化が求められているということですね。これに基づき、生活習慣病の診療において、単に薬を処方するだけのクリニックには評価が低くなるという明確なメッセージが国から発信されていると感じます。より患者の生活に寄り添い、手間を惜しまずに診療を行うクリニックが評価されるということです。

川本様:とは言え、先生方には「既に患者さんも多く、こんな作ってる時間ない。手間はすごい増えるけれども、単価が下がっているのがどういう事なんだ。待ち時間長く、一人一人に手間かける余裕なんてどこにもないよ」と言われると思っています。それは本当に事実だとは思うんですけれども、そんなことは正直言ってられないというのが、やはり現実なのかなと思っています。

既に、今回の診療報酬改定が、やはり保険診療をしている我々のビジネスの土俵が変わってしまって、強制的に変えられてしまった事実だと認識しています。ですので、今まで通りが良かったっていうところは、まさにそうだと思いますけれども、そういってても、やっぱり何も変わらない、土俵が変わってしまっているんだだったら、この新しいルールの中で、戦っていくための院内の仕組みや運用を変えていかなければいけないというところが、今、求められているというふうに認識しています。

川本様:では何をしないといけないのか。手間をかけて、ただその代わりしっかりと良いサービスを提供して、その結果として単価を高めていくことが重要です。しかし、この手間をかける点については、ドクターの手間以外での効率化も考慮する必要があります。医師の手間を削減しつつ、全体の効率化を図ることが、非常に重要だと考えています。

川本様:1つ目は手間をかけて単価を高めることです。先程も少し触れましたが、診療報酬改定の個別改定項目について、臨床的な観点からもう少し詳しくお話ししたいと思います。黄色で、色付けをさせてもらっているところが、おそらく今後、併算定をしていくことが多くなるのかなと思うような項目です。ここに書いているものの他に、外来データ提出加算であったり、CPAPの管理料であったり、今まで特定疾患療養管理料だったら算定不可だった項目も、生活習慣病管理料でしたら可能になった項目もたくさん出てきています。

これは国としては、やはり本質的に必要なものであり、要らないものを無理に付け加えるということではなく、患者さんにとって本質的に必要な手厚い療養管理や包括ケアを行い、より高い単価と収益を見込むことで、健全な経営になると考えています。

川本様:そして、それを実行する上で、生活習慣病管理料の療養計画の作成がハードルだと述べました。 実際、先生方は現在、大きな負担を感じていると思います。 ただ、よく読んでみると、2022年の改定時にはこの総合的な療養管理に関して、多職種との連携しても構わないとされていたのが、今回の改定で、多職種との連携が望ましいという形に変わったことに気付きます。 これも結局、医師による単独の作業を求められているわけではなく、むしろ多職種のチームで患者さんに接することが推奨されているという意味合いが含まれているのではないでしょうか。

川本様:この内容を具体的に見ていくと、主に栄養指導に集中しており、例えば、高血圧の場合は食塩を控えめにし、食事の摂取量を適正化すること、糖尿病の場合は同様に食事の適正化とお酒の摂取量の減少を促すことが定型的なアプローチとして取り組まれています。

タバコを吸っている方に対しても、「禁煙しましょうね」という内容でほぼ定型的な指導が行われると思います。また、達成目標や行動目標については、患者さんと相談して決める部分が最も手間がかかると考えられます。この点に関しては、基本的には治療ガイドラインが存在し、いくつかのパターンから選択して進めることが多いでしょう。これを考慮すると、医師が時間を割いて説明するという定型的な業務に対して、一定の課題があるかもしれません。ただし、診察前に出来上がっている仕組みを導入することで、この問題に対処できる可能性があります。

川本様:具体的には、先生方もご覧になっているかと思いますが、ウェブ問診システム業者などが提供する事前問診システムにより、療養計画書の作成サービスが提供されています。このシステムを利用すると、自宅で問診を行う段階で必要な項目がほぼ埋まった状態になったり、看護師による事前問診によってすでに入力されている状態で診察に臨むことが可能です。また、最近では、定期的に更新する必要がある療養計画書を、事前に管理栄養士による栄養指導を経て診察前に作成する方法も増えています。このような流れを整備することで、予約と診療の動線をスムーズにし、効率的な診療を実現することができます。

また、今回のセミナー主催者であるCureAppさんが提供するサポート機能も注目されています。こうしたサポート機能をうまく活用することで、先生方の手間を減らしつつ、高品質なサービスを提供する仕組みを構築することができると考えます。

川本様:手間をかけて単価を高めることと医師の手間を削減し効率化することについて話しましたが、結局のところ、患者さんに寄り添ってより良い医療サービスを提供することが単価の向上に繋がるということです。また、医師の手間を削減することは適切なスタッフ配置や業務効率化を通じて生産性を高めることにつながります。これらの取り組みは診療報酬改定の大きなメッセージとして盛り込まれており、時代の変化に適応するための重要な取り組みだと感じています。内科クリニックが長期的に生き残っていくためには、このようなアプローチが必要です。今後もこの2つの観点を参考にしていただければ幸いです。

動画を視聴したい方はこちら

本記事のアーカイブ動画をご覧いただけます

製品説明資料をダウンロード

製品説明資料もご覧いただけます






株式会社CureApp 鈴木 晋 講演

鈴木:株式会社CureAppの紹介をさせていただきます。私たちは2014年に医師2人によって創業された医療機器メーカーで、CureApp HTなどの治療アプリを開発しています。当社の治療アプリは、高血圧治療アプリ「CureApp HT」のほか、2020年には禁煙治療アプリも承認されています。私に関しては医師でありながらエンジニアリングやプログラミングも得意としており、これらのアプリの開発にも携わっています。週1回、福島県福島市の須川診療所で内科外来を担当しており、自身も約35例の患者にCureApp HTを適用しています。この経験を踏まえて、今日は皆様にお話しできればと思います。

鈴木:さて、先ほどもありましたように、高血圧、特定疾患療養管理料から外れて、生活習慣病管理料へというところなんですけれども、この新診療報酬下での診療スタイル、皆さん自分のやり方が合ってるのかなと疑問に思うことも あるのではないでしょうか? そこで今回Zoomの投票アンケートを皆さんに実施していただければと思いまして、他の皆さんがどういう対応してるのかというのを、是非一緒に見ていけたらと思っております。

はい、では早速ですが、第1問です。診療報酬改定後、特定疾患療養管理料から外れた生活習慣病は、主にどの診療項目に移行されているのでしょうか?

結果は、85%が生活習慣病管理料Ⅱ、13%が生活習慣病管理料、その他の方が2%という結果になりましたね。先ほどの川本さんのお話と近い数字ですね。

鈴木:では、次の質問に移らせていただきます。 療養計画書はどのように作成していますか? 患者によらずほぼ定型で作成、スタッフの事前聞き取り等で個別作成、医師が診察中に作成、その他、この4つからお選びください。

結果は非常に分かれていますね。一番多いのは42%で、医師の診察中に作成されています。そして、ほぼ同率で、患者によらずほぼ定型とスタッフの事前聞き取りがあります。その他の方法にも興味がありますね。

鈴木:第3問です。診療報酬改定後、生活習慣病を指導する機会に変化はありましたでしょうか?とても増えた、増えた、変わらない、減った、とても減った、ここからお選びください。

結果をご覧いただくと、増えた、が最も多く44%ですね。やはり生活習慣病の療養計画書の内容に関する話題ですから、増えることが多いのは理解できますね。増えたととても増えたを合わせると、55%となります。一方で変わらないが4割と、減ったという意見もありました。ちょっと減った理由も気になりますが、次の質問に移りましょう。

鈴木:診療報酬改定後、生活習慣病の診療の質に変化はありましたでしょうか? 大変良くなった、良くなった、変わらない、悪くなった、とても悪くなった、からお選びください。

結果をご報告いたします。結果として、質は変わらないと回答された方が67%で最も多く、良くなったという方が18%、大変良くなったという方が12%でした。一方で、悪くなったと回答された方は3%でした。皆様のご意見をありがとうございました。

鈴木:では本題に戻ります。

この診療報酬改定による療養計画書が、医師と患者がしっかり対話し、生活習慣を理解し合える未来を築く手助けになるかどうか。私も少し甘いかもしれないと感じます。始まってからまだ1か月も経っていませんので、史上最もやる気があると考えられますが、以下の事実にも目を向ける必要があります。

まず、療養計画書は今後4か月ごとに続きます。今回が新しい取り組みの最初であり、その結果によってやり方が定着するかどうかも考慮しなければなりません。やり取りがマンネリ化する可能性もありますし、習慣になるまでには時間がかかります。次回診察時に「すいません、ちょっと忘れていました」ということが続くリスクもあります。その結果、取り組みがおざなりになる可能性も考えられます。

このように、療養計画書は最初は新鮮で課題が変わった感覚を与えるかもしれませんが、今後も継続していけるかどうか、じっくり考える必要があると思います。

「結局、習慣になるのか」という点で言うと、例えば医師がタバコを禁煙または節煙することの有効性を説明しても、それが実際に患者の行動変容につながるかは、実際にはそうではないケースが多いです。生活習慣指導の作成時間について先ほど1分半というお話がありましたが、これが果たして十分な時間なのかということが問題です。小さな穴から隣の部屋を掃除するという例えをよく使いますが、問題は奥にある汚い部屋を見つけても、その原因を理解しなければ手を入れて介入することができないということです。これが現在の生活習慣指導の現状ではないかと考えています。

鈴木:実際、生活習慣指導についてですが、このグラフの左側では、生活習慣指導が重要であると考えている先生が86%もいる一方で、自身の生活習慣指導がうまくいっていると感じている先生は半分以下の39.5%に過ぎません。一方、右側のグラフでは、その理由として最も多かったのが「患者さんが実行できない」ことでした。その他にも「生活習慣が見えず手応えがない」という声が挙がっています。つまりこれらは振りかざされた正論であり、診療報酬改定前にもこの問題を指摘してきました。

鈴木:結局、国が療養計画書の徹底を求める状況に対し、我々も形式的であっても対応しなければならない状況が生まれています。日本全国でこの実態がある一方で、実際に習慣として機能しているかどうかという懸念もあります。本当に患者の生活に寄り添ったアプローチが必要であり、1分半ではなく、より深く関わって治療を進めることが重要です。

そこで、私たちは治療アプリの開発に取り組んでいます。そして今回は、それにアップデートが加わることになりました。

鈴木:さて、今回紹介するのは、この右側にある医師が持っているパンフレットみたいなもので、これが「血圧チャレンジプログラム」です。少し説明させていただきますね。

鈴木:このプログラムには、2つの狙いがあります。1つ目は、たくさんの資材が今回拡充され、先生方が勧めやすいものになっています。もう1つは、チャレンジという表現で、患者さんがアプリを進めやすいものになっています。この2つの進めやすさが、この血圧チャレンジプログラムのポイントです。それぞれ詳しく説明させていただきます。

鈴木:まず、どんな資材を拡充したのかについて説明しますが、これまではスマート降圧療法を推奨していましたが、それをやめていきます。まず、漫画を作成しました。治療アプリのイメージが湧かないという声が多かったため、漫画の形式で小冊子を作成しました。これは処方前に、血圧を測定する棚に置いていただけると嬉しいですね。

そしてもう1つが、右側の血圧チャレンジキットです。これは、処方開始の際に直接渡す形で提供されます。全員に自由に持って帰っていただくパンフレットではなく、処方の一部として渡すことを想定したキットです。

鈴木:少しだけ漫画の中身をお見せします。漫画の方が患者さんにとってキャッチーであると思われるため、説明の手間が省ける部分もあるかと思います。

鈴木:そしてこちらはスタートブックになります。この治療アプリの意義や、通院とアプリをどう組み合わせて利用するか、その体験を具体的に理解していただけるようになっています。初めて使う際のガイドや、よくある質問に対する回答も含まれており、取扱説明書のようにご利用いただけるものです。

さらに、後ろのページには塩分やカロリー、カリウムを多く含む食品の具体例が記載されています。外来診療時に一緒に読み合わせると患者さんが具体的に何をすれば良いかをイメージできるようになっています。これにより自己管理するための理解が深まり、チャレンジしようという意欲が高まることがあります。

この質の高い資材が非常に重要です。各アイテムが個別にビニールに入れられ、物理的な処方のような形で提供されます。治療アプリはソフトウェアですから概念だけを処方することしかできませんが、物理的なアイテムを受け取ることで治療の開始感を強調できるのは大切ですね。このスタート感を演出できることがプラスになると考えます。

鈴木:では、進めやすいという点についての2つ目ですね。患者さんが本当にこれを進めやすいのか、という話をさせていただきます。

まずそもそも、期待値を調整する必要がある問題がありまして、これについて説明します。左側の図は、治療アプリという言葉だけを聞いて、患者さんがイメージするものです。スマートフォンを使えば健康になると思うかもしれませんが、実際はそう簡単ではありません。

実際にやるべきことは、右側の図のように、患者さんがスマートフォンを使って行動することです。生活習慣を変えるチャレンジが求められます。この挑戦を「血圧チャレンジプログラム」という言葉で導入することで、「自分でやるもの、挑戦するもの」としてのイメージを持ってもらおうとしています。これにより、患者さんが期待値調整を行い、治療がうまくいく可能性が高まります。例えば数か月でやめてしまうケースを防ぐためにも、この「チャレンジプログラム」という言葉で患者さんが進めやすくなると考えています。

鈴木:さて、実際に使ってみた感想をお伝えします。
現在私は週に1回、福島で診療を行っています。この間、3回のチャンスがありました。驚くべきことに、導入率は100%で、3名全員がプログラムに参加してくれました。この3名は全て60代で、男性1名、女性2名です。彼らに提案をすると、皆さんこのプログラムにチャレンジしようと決断してくださいました。
特に、6か月間一緒に頑張るというスタンスに共感していただき、具体的にどう頑張っていくかという話も出てきました。また、料金についても気になるところではあったようでしたが、このプログラムを通じて一生の生活習慣が身につくという説明を受け、薬に頼ることを避けたいという意向から、積極的に選んでくれました。
これらのデータは私の主観が含まれるため、全ての導入率を真に受ける必要はありませんが、私が実際に患者さんにこのプログラムを提案した結果になります。
しっかり継続してくれるか、というのはまだ6月ですので今後を見ていきたいなと考えております。

動画を視聴したい方はこちら

本記事のアーカイブ動画をご覧いただけます

製品説明資料をダウンロード

製品説明資料もご覧いただけます

鈴木:そして、もう1つのお知らせです。

療養計画書の作成が一瞬で可能になりました。これまでは医師の管理画面からの印刷機能のみでしたが、今後は患者レポート兼療養計画書を作成するツールを無償で提供することになりました。この機能は患者さんにも喜ばれることでしょう。ぜひ、実際の操作画面をご覧ください。

12秒で完了します。チェックを入れて終わりです。先ほどの1分半かかるという話とは対照的で、こちらはたったの12秒で完了します。療養計画書として見なされるのかというご質問もいただきますが、ご安心ください。上に出ている「厚生労働省書式」という項目にチェックを入れると、厚生労働省の書式として出力されますので、これで十分です。これもまた、16秒で完了します。

鈴木:次に、内容についての話をさせてください。まず、私が好ましいと感じた点は、開始時の血圧からの変化がレポートで見られることです。これにより、過去の血圧と比較して、6か月間のチャレンジプログラムの影響がどれくらいあったのかが明確になります。これまでは、前回の血圧という視点でしたが、チャレンジプログラムの意識を高めた結果、1か月ごとの効果に興味が向かいます。

例えば、少しずつ下がっていった場合でも、初めからの血圧と比較すると16ポイントも下がっていたとすると、これはかなりの改善です。このような結果により、医師も患者さんも喜ぶことでしょう。この実感が得られることが、非常に重要です。

2つ目は、このアプリの利用状況に応じてフィードバックができる点ですね。アプリの利用状況がそのまま行動の目標になるため、療養計画書でこれまで以上に実際に行っていることが反映されるということになります。そして、この療養計画書には必要な項目も含まれています。実際に患者レポートの形式でも、療養計画書の要件を満たしていると考えています。

ただ、その一方で、厚生労働省が示す療養計画書の方が方針的に良いと考える方も多いと思いますので、その形式でも十分可能だというところです。ただ、やはり実際の生活に即した内容で書けるという点が重要で、そして、手間が圧倒的に省けるという利点もありますね。

鈴木:私の発表は最後になりますが、まず、この診療報酬改定が始まりましたが、まだ始まったばかりです。今後の展開について考えながら、診療を進めていくことが重要だと思います。習慣に捉われず、治療アプリの導入を検討していただければと思います。

その際には、血圧チャレンジプログラムを導入することをお勧めします。アプリだけでなく、物理的な資材を使うことで、治療の始まりを演出できます。
そして、「チャレンジ」の言葉が患者さんの期待値を調整する助けになるでしょう。モチベーションの高い状態で治療に取り組んでもらえるのではないでしょうか。
最後に、療養計画書の作成も簡単にできます。1クリックですぐに生成でき、お忙しい中で手間を省くことができます。
実際の生活に即した内容で出力できる機能もありますので、ぜひこの血圧チャレンジプログラムと療養計画書の作成機能を活用していただければと思います。





質疑応答

司会:まず第一に、鈴木さんへのご質問です。ご発表いただいた3名の患者さんについてですが、この3名は薬剤治療前の方ですか?というご質問を頂いております。鈴木さん、ご回答をお願いいたします。

鈴木:はい、1名は薬剤治療後の方でした。退院後、血圧の治療を受けていた際、指導内容が不十分で、薬の処方のみに頼っている状態に不安を感じられたため、健診で当院に来院されました。そこでCureApp HTのポスターを見て、薬以外の治療方法に興味を持っていらっしゃいました。

司会:続いてのご質問になります。療養計画書の作成等で診療時間が伸び、患者さんを待たせるなど、悪いサイクルになっています。 一般内科の開業医として、すぐにでも取り組めるオペレーション改善があれば教えてほしいというところでございます。 また、鈴木先生の施設で、工夫されてる点があれば教えてほしいというところでございますので、こちら、川本様、鈴木さんの順番で、お答えいただけますでしょうか?

川本様:はい、ご質問ありがとうございます。一部、私のセミナーや講演で触れたかもしれませんが、先生方のクリニックにおける人員体制によりますが、基本的には先生ではなく、看護師や栄養士、管理栄養士による作成が最もシンプルで分かりやすいと考えています。ただ、現在の人員配置では難しい場合は、問診システムの活用や、今回の高血圧の場合はチャレンジプログラムを含めたシステムを活用することも考えられます。こうしたアプローチを取ると、先生の説明負担がかなり軽減されると思います。先生がすべてを担当する必要があるのか、という視点を持っていただき、適切な役割分担を進めることで、大幅に改善できると考えています。

鈴木:実際、質疑応答が難しい部分もありますが、パターン化してきている感じがあります。疾患に応じた目標値は基本的に固定していますが、特に行動目標にフォーカスして設定しています。その他の項目は事前に決まっているような流れになっています。また、同意を取る作業などは、事前に準備された紙1枚を用意し、看護師や他のスタッフが説明し、医師との対話では目標設定に集中するといった形です。私は本質的な会話を重視し、実際に運動や食事で何に気をつけたいかについて話し、それを項目に反映させてチェックを入れ、最後に自分と患者さんのサインをいただく形で進めています。

司会:本日ご講演いただきました、川本様、鈴木さん、ありがとうございました。

動画を視聴したい方はこちら

本記事のアーカイブ動画をご覧いただけます

製品説明資料をダウンロード

製品説明資料もご覧いただけます