CureApp HT 高血圧治療補助アプリ【医療関係者向け】

DTxが切り拓く新しい医療

ここではDTxについて、保険適用や診療報酬改定、国内外の動向を交えてご紹介します。

目次

  • DTxとは
  • DTxの開発から保険適用までの流れ
  • ヘルスケアアプリや医薬品との違い
  • 2024年の診療報酬改定と生活習慣病の管理
  • 国内外の動向

Digital Therapeutics (DTx)とは

DTxはプログラム医療機器(Software as Medical Device : SaMD, サムディー)の一部として位置付けられています。SaMDには疾病診断用・疾病治療用・疾病予防用の3つがあります。このうち治療と予防を目的とするものがDTxと分類され、エビデンスに基づいた治療的介入を提供します。[1] 厚生労働省は、プログラム医療機器の実用化を促進する「プログラム等の最先端医療機器の審査抜本改革(DASH for SaMD)」、さらには二段階承認などを盛り込んだ「プログラム医療機器実用化促進パッケージ戦略2(Dash for SaMD2)」を公表しており、SaMDの迅速な市場導入が促されています。[2, 3]

DTxの開発から保険適用までの流れ

2014年の薬機法(旧薬事法)改正に伴って、医療機器プログラムが医療機器として認められ、保険診療で用いられるアプリやソフトウェアが台頭してきました。以降では、保険診療で用いられるDTxに焦点をあて、保険適用が認められるために欠かすことのできないポイントを2つご紹介します。1つは医薬品医療機器総合機構(PMDA)による薬事承認です。医薬品等と同様に、プログラム医療機器においても治験が行われ、PMDAによって安全性や有効性、品質などが厳格に評価されます。 新しい医療機器の場合、薬事承認が得られた後には、厚生労働省所管の審議会である保険医療材料等専門組織(保材専)と中央社会保険医療協議会(中医協)による評価が行われます。ここでは医療経済性や医療現場での実用性についても検討され、最終的に保険適用の対象となるかどうかが決定されます。 薬事承認と保険適用の許可を経て、プログラム医療機器は医療機関で保険診療として提供できるようになります。[4]

ヘルスケアアプリや医薬品との違い

DTxとヘルスケアアプリの違いに関心が寄せられることがあります。ヘルスケアアプリは健康増進活動の支援を目的としており、例えば健康に関するデータの記録や管理を行います。一方で、DTxは一定水準以上の科学的なエビデンスを持ち、治療に直接介入するという点で一線を画しています。 薬機法上の扱いにも違いがあります。DTxは医療機器(クラスⅡ以上)であり、規制当局による承認・認証や臨床試験による効果の検証が必要とされています。[5] ヘルスケアアプリは非医療機器に分類されており、規制当局による承認や臨床試験は必須とされていません。

医薬品とDTxとは適応症や作用の仕方、使用方法など様々な違いがあります。 例えば、DTxには患者さんの長期的な行動変容が必要な分野で使用されるものがあります。 慢性疾患やメンタルヘルスの管理、生活習慣病などに対しては、患者さんの行動や認知にアプローチすることが有効な場合があり、DTxはソフトウェアを利用してそうした治療を行います。 DTxは通院と通院の間に生じる治療の空白に介入したり、データを活用して個別化された治療を提供することが可能で、薬物療法ではない新たな治療の選択肢を提供しています。 一方で、使用に際して患者さんがスマートフォンを所有していることやITリテラシーが求められることがあります。

2024年の診療報酬改定と生活習慣病の管理

2024年の診療報酬改定において、生活習慣病の管理や診療報酬に関する見直しが行われました。 生活習慣病の増加への対応として、「効果的・効率的な疾病管理及び重症化予防の取組」が推進されています。[6] 生活習慣病の管理において生活習慣管理料を算定する場合、診療報酬の算定条件として書面による療養計画書の作成と実質的な指導が必須とされ、具体的には、患者さんの同意を得た上で治療計画に基づく総合的な管理を行わない場合、報酬が算定されない仕組みとなっています。 DTxには生活習慣病や精神疾患の治療を行うものがあり、継続的にデータを収集して個々の患者さんに合わせた治療計画を立てることができることから、治療の質の向上に貢献することが期待されています。 患者さんの自己管理の支援や医療従事者による生活指導を充実させる医療機器としてDTxは大きな可能性を秘めています。

国内外の動向

DTxは世界中の国々で普及しています。DTxの先駆けは米国の糖尿病患者向け治療アプリや、薬物依存症を治療するアプリがあります。 日本国内では3つのアプリが薬事承認され、うち2つが保険収載されています(2024年9月時点)。アプリとして日本で初めて保険適用されたのは、株式会社CureAppのニコチン依存症治療アプリで2020年に上市されました。[7] また、同社の高血圧治療補助アプリが保険適用され保険診療の中で利用されているほか、サスメド株式会社による不眠障害治療用アプリが薬事承認を受けています。[8,9] 医療水準の引き上げや、地域の医療格差の軽減などの観点からSaMDの社会実装は重要視されており、その市場は今後も拡大して行くことが期待されています。[10]

株式会社CureAppとCureApp HTについて

会社概要

CureAppが取り組む事業

高血圧症

CureApp HTとは

薬と同じように薬事承認・保険適用

参考文献

  1. [1] DIGITAL THERAPEUTICS ALLIANCE, What is a DTx? (アクセス日2024年10月16日) https://dtxalliance.org/understanding-dtx/what-is-a-dtx/
  2. [2] 厚生労働省医薬・生活衛生局, プログラム等の最先端医療機器の審査抜本改革 DASH for SaMD (アクセス日2024年10月16日) https://www.mhlw.go.jp/content/11124500/000737470.pdf
  3. [3] 厚生労働省医薬局医療機器審査管理課 経済産業省商務・サービスグループヘルスケア産業課医療・福祉機器産業室, プログラム医療機器実用化促進パッケージ戦略2 DASH for SaMD2 (アクセス日2024年10月16日) https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/001142990.pdf
  4. [4] 厚生労働省, 医療機器・体外診断用医薬品の保険適用に関するガイドブック (アクセス日2024年10月16日) https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001073851.pdf
  5. [5] 医療のプログラム開発のきほん, 薬機法やルール等を知ろう (アクセス日2024年10月16日) https://www.jaame.or.jp/program/rule.html
  6. [6] 厚生労働省, 個別改定項目について (アクセス日2024年10月16日) https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001220377.pdf
  7. [7] 厚生労働省, 医療機器の保険適用について(令和2年12月収載予定) (アクセス日2024年10月16日) https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000693018.pdf
  8. [8] 厚生労働省, 医療機器の保険適用について(令和4年9月収載予定) (アクセス日2024年10月16日)https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000972473.pdf
  9. [9] 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構, 審議結果報告書 (アクセス日2024年10月16日) https://www.pmda.go.jp/medical_devices/2023/M20230217001/331621000_30500BZX00033_A100_1.pdf
  10. [10] 日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 臨床評価部会, デジタル治療(DTx)開発における現状と留意点 (アクセス日2024年10月16日) https://www.jpma.or.jp/information/evaluation/results/allotment/g75una0000002by1-att/CL_202306_TF1_2_DTx.pdf